鑑定書:Paper(Certificate): 第65回重要刀剣指定
国 Country(Kuni)・時代 Era(Jidai):備中国,岡山県(Bicchu)・鎌倉時代初期(Early Kamakura period about 1185~)
刃長:Blade length(Cutting edge):65.2cm(一尺七寸八分八厘) 反り:Curve(SORI): 2.0cm
元幅:Width at the hamachi(Moto-Haba): 2.6cm 先幅:Wide at the Kissaki(Saki-Haba): 1.6cm
元鎬重:Thickness at the Moto-Kasane: 0.70cm 先鎬重:Thickness at the Saki-Kasane: 0.55cm
茎:Sword tang(Nakago): 切鑢目、目釘孔2個。
【重要刀剣図譜より】
法量 長さ六五・二糎 反り二・〇糎 元幅二・六糎 先幅一・六糎 鋒長さ二・五糎 茎長さ一八・二糎 茎反り〇・一糎
形状 鎬造、庵棟、身幅尋常、元先の幅差やや目立ち、重ね尋常、反りやや深くつき、小鋒。
鍛 板目肌、肌立ちごころ、杢交え、地沸厚くつき、地景入り、淡く地斑映り風立つ。
刃文 広直刃基調に極く浅くのたれ、処々小互の目交じり、小足・葉入り、匂勝ち小沸つき、腰元二重刃かかり、匂口やや明るい。
帽子 直ぐに先丸、返りやや長く焼き下げる。
茎 磨上、先浅い栗尻、鑢目(新)切り・(佩表茎先旧鑢)大筋違、目釘孔二、佩表茎先に二字銘があり、銘字の一部が切れている。
説明
妹尾の地は平家の家人妹尾太郎兼康によって開かれたことで知られ、高梁川下流域の青江の地より東方備前寄りに位置し、『元亀目利書』・『古今銘尽』は備中刀工を青江鍛冶と妹尾鍛冶に区別している。また青江鍛冶が銘文に「次」の字を用いることを通例としているのに対し、妹尾鍛冶は則高・正恒・常遠・是重・安家・弘経・恒真・守恒・助真・時真・行真らの遺例に見るように「次」の字を用いることは少ない。作風は、地がねが縮緬風の肌合を呈し、地斑があらわれ、鑢目が大筋違になるなど備中鍛冶の見どころを示すが、『元亀目利書』に「備前物二似タリ」とあるように、やや古備前気質を感じさせるものである。
この太刀は、鎌倉時代初期を下らぬ古典的で優美な太刀姿を呈し、板目が僅かに肌立ち、杢を交え、地沸が厚くつき、淡く地斑映りが立ち、刃文は広直刃が極く浅くのたれ、腰元には二重刃が交じり、小足・葉が入り、匂勝ち小沸つき、一見古備前物に近似した出来口を見せている。しかしながら地鉄に杢目が交じる態や、銘の周囲に遺る生ぶの鑢が大筋違である点などには備中系の特色が示されている。地刃に潤いを感じさせるいかにも古調な一口で格調が高く、加えて行国在銘が誠に貴重である。なお妹尾鍛冶は青江鍛冶と異なり、銘字を太刀銘に切るものが多い。行国在銘の作品は希少であり、行国および備中妹尾鍛冶研究にとり、重要な情報を提供してくれる。
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