Paper(Certificate): 特別保存刀剣鑑定書
国 Country(Kuni)・時代 Era(Jidai): 備前国,岡山県(Bizen) 安土桃山時代 天正四年(Azuchimomoyama era 1576)
刃長:Blade length(Cutting edge): 27.1cm(八寸九分強)反り:Curve(SORI): 0.2cm
元幅:Width at the hamachi(Moto-Haba): 2.78cm 元鎬重:Thickness at the Moto-Kasane: 0.59cm
先幅:Wide at the Kissaki(Saki-Haba): 2.40cm 先鎬重:Thickness at the Saki-Kasane: 0.45cm
拵全長:Length of Koshirae : 約 43 cm 茎:Sword tang(Nakago): 勝手下がり鑢目。目釘穴2個。
体配:Shape(Taihai):平造、庵棟。
地鉄:Jigane(Hada): 板目肌。
刃文:Temper patterns(Hamon): 互の目に丁子交る。
帽子:Temper patterns in the point(Bohshi): 地蔵風で返る。
登録:Registration Card: 群馬県
【解説】室町時代後期、戦国時代に数多存在した末備前刀工の中で、最高峰に君臨する与三左衛門尉祐定の作品。長船祐定は勝光・清光らと並び、末備前と呼称される室町時代後期の備前鍛冶を代表する名工群です。同じ祐定の銘を名乗る刀工は六十余名と云われ数多いが、技量、知名度共に最上工として知られて高名なのは与三左衛門尉祐定です。永正から大永・享禄・天文年間にかけて活躍し、中国地方の、赤松氏・浦上氏・宇喜多氏の守護や守護代をはじめ、高位戦国武将の篤い支持を得て、その注文に応じた名作を残しています。天文十一年に与三左衛門尉初代が没すると、その跡を継いで二代を襲名したのが永正七年生まれの与三左衛門尉です。父初代の下で修業し会得した卓越した技量で初代同様の作柄を示し、与三左衛門尉祐定の銘を動かぬ地位に高めました。この短刀は、与三左衛門尉祐定二代の天正四年八月吉日年紀入りの円熟期の作で、身幅広く重ねがしっかりとして研ぎべりが無い姿が誠に健全な短刀です。備前祐定の最高峰、与三左衛門尉祐定の短刀は末備前ファンの垂涎の的です。
本作体配は、刃長が八寸九分強という立派な長さで、身幅も力強く、姿が奇麗な短刀です。地鉄は、板目肌練れて流れ心が現れ、よく詰んで刃に沿うように映りが立ちます、刃文は、匂い口やや締まり心で小沸が付く互の目に丁子が交る刃紋です。刃中刃縁には、足、葉、砂流し・金筋が働きます、先たっぷりとした帽子は地蔵風となり小丸へ深く返ります。附の合口拵は鱗家紋銀一作の上等なものです。本品は内外ともに立派で雰囲気がよい、天正四年紀入り与三左衛門尉祐定がちょうど66歳、円熟の技量を余さず示した平造短刀の優品です。
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