鑑定書:Paper(Certificate): 特別保存刀剣鑑定書
国 Country(Kuni)・時代 Era(Jidai): 備中国,岡山県(Bichu) 江戸時代初期 寛永頃(Edo era 1624~)
刃長:Blade length(Cutting edge): 52.0cm(一尺七寸一分) 反り:Curve(SORI): 1.2cm
元幅:Width at the hamachi(Moto-Haba): 2.96cm 元鎬重:Thickness at the Moto-Kasane: 0.63cm
先幅:Wide at the Kissaki(Saki-Haba): 2.55cm 先鎬重:Thickness at the Saki-Kasane: 0.55cm
茎:Sword tang(Nakago): 生ぶ。筋違鑢目。目釘孔1。
体配:Shape(Taihai): 鎬造、庵棟、中切っ先。
地鉄:Jitetsu(Hada): 板目肌練れて詰む。地沸付く。
刃文:Temper patterns(Hamon): 湾れに互の目乱れる。
帽子:Temper patterns in the point(Bohshi): 小丸へ返る。
登録:Registration Card: 岡山県
【解説】古刀期より備中高梁の北方に位置する水田・呰部の地には鍛冶群が栄えました。戦国末期、刀剣の需要が急激に高まる中、松山城主の三村氏や毛利氏、呰部城主の植木氏の需要に対して、水田国重、呰部為家の他、多くの刀工が仕え作刀していました。備中水田一門は、古青江為次の末裔にあたり、本作の備中呰部為家は、世に呰部水田(あざえみずた)と称される河野理兵衛尉為家の作になります。その作風は、水田に似て沸を強調した相州伝造であり、刀身の体配は江戸初期、寛永頃の重ねが確りとして反が利いた脇差姿を呈しています。地鉄は、板目肌が練れて詰み地沸がつきます。刃紋は、小沸出来の湾れに大きな互の目を交え、所々に飛び焼くなど覇気がある刃紋を焼いています。匂口は冴えて明るく刃縁に砂流し、金線が現れ、葉入り食違い刃を見せて働きます。帽子は、そのまま焼き高くして小丸へ返ります。茎は生ぶ。銘は長銘でキッチリと刻されています。特別保存刀剣鑑定書付。呰部為家の現存品は決して多くは無く、まして備中国呰部住河野理兵衛尉為家のフルネーム作品は古来より珍重される感が有り大変貴重です。岡山県を郷土とする御客様には見逃せない御品です。
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