鑑定書：Peper(Certificate): 特別保存刀剣鑑定書

国 Country(Kuni)・時代 Era(Jidai) ： 備前国,岡山県(Bizen)・室町時代後期　大永五年(Late Muromachi period 1525)

刃長：Blade length(Cutting edge): 20.2cm（六寸六分六厘） 反り：Curve(SORI): 0cm
元幅：Width at the hamachi(Moto-Haba): 2.04cm　元鎬重：Thickness at the Moto-Kasane: 0.63cm
先幅：Wide at the Kissaki(Saki-Haba): 1.70cm　先鎬重：Thickness at the Saki-Kasane: 0.50cm
拵全長：Length of Koshirae : 約32.5cm　茎：Sword tang(Nakago): 生ぶ、勝手下鑢目、目釘孔1個。

体配：Shape(Taihai): 平造、庵棟。
地鉄：Jigane(Hada): 板目肌に杢目交じる。
刃文：Temper patterns(Hamon): 互の目丁子乱れ。
帽子：Temper patterns in the point(Bohshi): 乱れ込み先地蔵風となり返る。
登録：Registration Card:  兵庫県

【解説】
室町時代後期、戦国時代に数多存在した末備前刀工の中で、最高峰に君臨する与三左衛門尉祐定の作品。長船祐定は勝光・清光らと並び、末備前と呼称される室町時代後期の備前鍛冶を代表する名工群です。同じ祐定の銘を名乗る刀工は六十余名と云われ数多いが、技量、知名度共に最上工として知られて高名なのは与三左衛門尉祐定です。永正から大永・享禄・天文年間にかけて活躍し、中国地方の、赤松氏・浦上氏・宇喜多氏の守護や守護代をはじめ、戦国武将の篤い支持を得て、その注文に応じた名作を残しています。本品は末古刀最上作、大業物に位列する初代 与三左衛門尉祐定の短刀です。刃文は直刃に小足を交えたもの、湾れ刃、互の目丁子、皆焼などを焼きます。
本刀体配は、刃長が六寸六分六厘、身幅重ね共に尋常で、内反り、形崩ることなく綺麗な刀姿を残します。地鉄は板目肌に杢目が交じり、地沸付き、総体肌が良く表れ、棟寄り流れ心、地景が入り、映りが立つ、精良で潤いに富んだ肌となります。刃文は匂本位の互の目丁子乱れで、腰開き心に乱れ、小沸良く付き、匂口は爛々と冴えます。刃中には足、葉が入り、処々飛び焼き、肌目に沿って金線、砂流しが掛かって盛んに働きます。帽子は焼刃の勢いのまま乱れ込み、地蔵風となって返ります。茎は生ぶで刀工銘と年紀を刻します。朽ちる事なく黒々として光沢のある錆味は、誠に美しく見事です。拵は黒呂塗鞘の合口で、刀身を引き立てる品格のある逸品が附いております。本作末備前の代表刀工 与三左衛門尉祐定の堂々たる一口。地刃共に同工が活躍した同時期の特色を顕現して誠に華やかであり、短刀ながら堂々とした佇まいで且つ覇気を纏った名刀としてご紹介致します。白鞘、金着せ一重はばき。特別保存刀剣鑑定書。